NO.7 あなたの書きたいものは、本じゃない!
以前、「書店のコーナーが、霞がかかったようなぼんやりとした空間になっている」と書いた。
「売れるコンテンツを失った書店の棚は、読者が興味を失い、離れていく魅力ない棚になってしまう危険性を孕んでいる!」と提言した。
次のことは、私が考えるひとつの「仮説」として読んでほしい。
昨今、多くの新人が出版できるようになった。
そのことに関しては、喜ばしいことだが、ほんとうは「まだ出版をしてはいけない、出版する実力がない人が著者になってしまっている」ことが、上記の現象を招いているひとつの原因になってはいないだろうか?
出版するためには、版元により、さまざまな条件がある。
大手出版社ほどハードルは高いが、小さな出版社は、ある一定の条件をクリアーすれば、よほどダメな企画は別として、初版部数は少なくても出版できてしまう。
自費出版とは違うので、店頭にも並ぶし、売れれば重版もかかる、印税も出る。本をプロデュースする立場からすれば、ありがたいことだが、そこには目に見えない落とし穴が潜んでいるようにも感じられる。
本は、何のために存在しているのだろう。
私は、出版塾や出版セミナーで、冒頭にいつもこの話をしている。
「あなたの書きたいものを本にしてはいけません。
読者が読みたいもの、必要としていることを、あなたの豊富な体験から丁寧に説明することです。それが、本です」
本は、「読者の心に寄り添うものでなければいけない」と、私は考えている。
書きたいものを本にするのは、傲慢だと感じる。
以前、若きベストセラー作家が、「私は自分が書きたいものを書いているんじゃない。読者が読みたいものを、本を通じて表現している」と話してくれたことがあった。
こうした姿勢だからこそ、多くの読者の心をつかめるんだなあと感心したものだ。
前述した、「出版する実力がない人」は、こうした本を書く姿勢も含まれると思っている。
・自分の仕事のブランディングのため。
・セミナー集客のツール。
・効果的な宣伝ツール。
・有名になりたい。
・名刺代わり。
挙句の果て、「そろそろ、本でも出すか」と宣う。
そんな声を聞くたびに、胸が痛くなる。
「名刺代わりなら、印刷代ほしいよね」と言った、ある編集長に同感だ。
あなたは、何のために本を出したいのですか?
もう一度、あなたの胸に問いかけてほしい。
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