2018年3月20日火曜日


NO.5  持ち込み企画の成約率は1%!?


昨今、出版プロデューサーやコーディネーターなどが増え、出版セミナーや出版塾が数多く開催されている。
作家デビューしたい方は、そこでのノウハウを学び、出版企画書を作成し、出版社の編集者に持ち込む。
編集者のテリトリーだけでは企画を探すことに限界があるので、このシステムは、編集者にとってもありがたいものである。
私も、学研時代は、少なからずお世話になったものだ。
ただ、その企画が通る確率は、ものすごく小さい! 私の場合、極端な話、1%の採用率だった。100件に1件しか企画が通らないのが現実である。

それはなぜか。出版社は企画を決定する際、初版部数、全体のページ数、本体価格、編集費、製作費、人件費、印税などを仮設定し、合算して、原価計算をするのだ。
その段階で、赤字になるような企画は、絶対採用しない。
新人作家の場合、最低初版部数を決め(この部数以下で出版したら赤字になるという部数。大手出版社ほど部数が多い)、本体価格を仮設定し、その設定で出版できるレベルの企画内容になっているかを真剣に検討する。

その条件として、全国の大手主要書店で平積みや面陳ができるか? 類書の近著(1年以内)は売れているか? 紀伊国屋書店や日販等のデータベースで検証する)初動に期待できるか? 発売前の予約注文は取れるか? 返品は抑えられるか? 1週間から10日くらいで重版がかけられるか? 等の「営業的視点」が最低限必要になってくるのだ。この視点が中途半端だと、企画は絶対通らない!!!


◎敗者復活戦は絶対ない!
というのも、再三申し上げているように、編集部(編集長)の決定だけで、企画は決まらないからである。
最終営業会議(社長や役員が出席するのがふつう)があり、「企画立案書」を提出、プレゼンを行う。敵は社長、営業役員、営業部長、営業課長、営業部員、味方は編集部長、編集課長、編集長などが出席し、バトルが始まる。そこで、社長や営業に「いまいちですね~」と言われたら、もうどうしようもないのだ!!!
敗者復活戦は、絶対ない! ただ、一回のチャンスが、新人には与えられるのみ。

だから、営業が「売れるかも?」と、錯覚でもいいから思わせるだけの情報を集めることが、編集者にとって必須なのだ。
このことは、出版社の編集者を長年経験した者でないと、絶対わからない感覚である(それも、編集長か副編集長クラス)。
なので、出版プロデューサーとして、出版塾やセミナーでは、出版企画書作成において、この要素の重要性を口を酸っぱくして伝えているのである。

となると、初版6,000部(一般的な部数、最近はもっと下がっている場合が多い)で出せる企画は、12%というのが現実なのである(編集者は、最終段階の営業とのバトルで、営業からOKという言葉を引き出すために、さまざまな重要な要素を瞬時に計算しているから、企画内容だけで判断することはない。
だから、「いい企画なんだけど、うちでは無理だなあ」という理由でお断りすることもあるのである、新人の皆さん。そんな場合は、他社の親しい編集者に紹介することも多い)。


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